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東西大学映画研究会は、弱小の中の弱小。優秀過ぎる先輩達が卒業すると、後を追うように続々と辞めていき、残ったのはたったの5人。そんな残りカスのような映研に、何故か入部してくれた唯一の一年生、多田雛乃特に映画好きでもなさそうな彼女は、入部直後から俺に猛アタック。彼女に押し負けて交際をスタートさせたのに、突然の別れの言葉。
別れを告げられた時はショックだったけど、ちょっと考えればすぐに理由に思い当たった。
単純な人違い。
同じ2年の経済学部の木村尚哉は、大企業の息子でちょっとした有名人。対する俺、木村尚也は、冴えない中学教師の息子。彼女いない歴=年齢の冴えない俺に猛アタックしてきた時点で、人違いに気付くべきだった。
振られたのはいいとして(ほんとは全然良くないけど)撮影どうしよう……
ひなちゃんが出てくれるって言うから、今年の学祭で発表する自主映画は、一夏のラブストーリーにしようと決まったのに……
他の女子部員2人を思い浮かべる。
衣装に小道具、特殊メイクまで出来る3年の原本先輩。小説を書くのが趣味で、今回の脚本を書いてくれた2年の牧原さん。どちらも裏方希望で、頑張ってもエキストラまで。ヒロイン役なんか絶対やってくれそうにない。
まずはみんなにこの事を話さなければいけないと思い、メッセージを送る。
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