彼女

4/13
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「ようこそ、何でもレンタルショップへ」  いつの間にか真っ白な部屋にいた俺の目の前に、少年が現れた。  白いシャツに白いズボン。肩の上で切り揃えられた艶のある黒髪を揺らし、少しつり上がった大きな瞳が俺を見上げる。幼さの残る整った顔立ちは、少女のようにも見えた。 「何をご所望ですか?」 「えっ? ご所望?」 「ここは、何でもレンタルショップです。何でもお貸しいたします」 「何でも?」 「はい。何でも」  頭に浮かんだのは、別れたばかりの多田雛乃。彼女に未練はないが…… 「彼女ですね。お貸し出来ますよ」 「えっ? 彼女を貸す?」  ああ、そういう人材派遣サービスあるよね。でも、結構高かったような…… 「レンタル代にお金は必要ありません」 「えっ?」 「まずは、会ってください」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!