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「せんぱーい。他に好きな人が出来たのでー、別れてくださーい」
「えっ?」
ある日の晴れた午後。付き合って2ヶ月の後輩、多田雛乃に突然別れを告げられた。
「えっ? な、なんで……?」
「すみませーん。他に好きな人が出来ましたー」
きゃぴっ(死語)て擬音語が付きそうな可愛い仕草で、えげつないことを言う。
「ま、まあ……他に好きな人が出来たんなら仕方ないか……」
「はい。すみませーん」
少しも悪いと思ってなさそうでげんなりするが、問題はそこじゃない。
「で、でも、映画には出てくれるよね?」
「すみませーん。映研、やめますのでー」
「それは困るよ! ひなちゃんヒロイン役なんだよ!」
「ほんとーに、すみませーん! 他の人にお願いしてくださーい。それじゃ!」
笑顔で手を振り去って行く彼女を、俺は呆然と見送るしか出来なかった。
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