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「じゃぁ、あれだ。お迎え待ってたんでない?」
エレベーターのボタンを押すと、程なくして扉が開いた。
「……お迎え?」
2人で乗り込む。箱の中で声が響く。
「さっきのワンボックス。送迎車なんでしょ」
それって……!
「芸能じ……」
「デリホス」
私の言葉に被せるように風香が言ったのは、聞き慣れない言葉だった。そして、タイミング良くか悪くか……チーーン!と到着を知らせる音が響いて、扉が開かれた。
買ってきたお茶のペットボトルを開けて豪快に飲む風香に『その話、詳しく!』と詰め寄った。
「よくよく考えたらさ、さっきのワンボックス……フルスモークで、いかにも!な感じだったもんね。後部座席に乗り込むのもね。」
風香が一人で納得をしている。
「あのね、彼は多分だけど……出張ホスト君。それは聞いた事あるっしょ?別名デリバリーホスト、略してデリホス」
「聞いたことはある。……でも私、夜にどっかにホストが出掛けてって営業すんだと思ってたよ。今、昼じゃん。スーツじゃないじゃん」
メンパブとか、ホストとか、行った事無いから分かんなかった。最近は全然貰わない割引券も、昔はいっぱい貰ってたけど。
「出張ホストは、最近聞くレンタル彼氏とも似てるんだけどさ……もっと親密度も自由度も高いわけ。あ、それに伴って値段も高いけどね。で、外で食事したりって言うデートみたいなのも出来るし……ホテル行ったり、家でイチャついたりも可能なのよ。」
それはまさに、私の知らない世界だ。
「え……エッチなこともすんの?」
恐る恐る聞いて見た。
「女の子のデリヘルと同じよ。本番は無し」
ホンバンとは……。キョトンとする私に
「挿入は無し!……実際、どーだか分かんないけどね」
あっけらかん、と話す風香に圧倒される私はまだお子ちゃまだ。
「あ、でもさ……彼、二足のわらじでない?普通の夜のホストもしてるはず。店が思い出せないんだけど……雑誌で見た記憶ある。同伴とか店外とか面倒らしいからさ、ちゃんとシステムとしてやってればその分稼げるしお互いに割り切れるからいいみたいで、店が両方の経営してたりもあるみたいだしね」
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