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初夏に蓮を初めて見掛けた。
夏の終わりに、蓮と出会って恋に落ちた。
季節はもうすぐ秋。
私はあなたと、恋がしたい。
*
「それじゃ、みんな飲み物はいったかな?」
皆んなが口々に、『ハーイ、大丈夫でーす』とガヤガヤ。
「えー、では。佐藤くん、早川さん、うちとしては残念ではありますが、新しい店舗の方での活躍を祈って、今日は皆んなで送り出したいと思います。これまで本当にどうも有難う。カンパーイ!」
『カンパーイ!!』
あちこちから、ワーとかキャーとかパチパチと拍手が上がる。
結局、新店には私ではなく由紀乃が抜擢された。
サトハルが店長となり、厨房だけじゃなくお店全体をまとめていく事となり、由紀乃がフロアリーダーとして新しく入るバイトさん達の指導係。
うちも人手が足りないので、あとは新規採用。普通の募集じゃなかなか集まらないけど、オープニングスタッフだと結構集まるらしい。
「よし、これからはお前も頑張っていけよ!」
いきなり店長が私の背中を思いっきり叩くから、吹き出しそうになる。
「ヘーイ」
グラスを掲げて一応の返事。これでもやる気充分。
「おいおい、うちの店はお前に掛かってんだからな!」
いやいやいやいや……
「勝手に掛けないで欲しい!」
そういうのが一番苦手だ。
「あ、ごめん。お前……打たれ弱かったな」
今頃気づくなっ!店長はガハハと笑った。
「よ。フロアリーダー」
店長と楽しく歓談してたところに割って入るサトハル。
そう。私は、フロアリーダーとなった。
「なんか、悪かったな。自分勝手だったわ」
『今更かよっ!』って笑って返したのに、サトハルは神妙な顔。
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