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やばい……由紀乃が一番やばい。
「ち、違うよー……やだな、びっくり!」
急激に喉が乾く。
「……そうなんだぁ、私の勘当たるのになー。残念」
悪びれもなくそう言って
「とりあえず、私に任せといて下さぁい」
と、右手をピン!とおデコに当てて敬礼ポーズをした。
いや、頼んでなーい!と思いながら、釣られて敬礼をする。
小悪魔タイプって、由紀乃みたいな子の事を言うんだと気づいた。
*
楽しい送別会もお開きになり、4年間に及んだ私の恋もピリオド。
明日からまた、頑張ろう。そう思えた。
恋は新しい恋で上書き?
思ったほど、サトハルへの未練は無かった。
だから、二人にギューっとハグして別れた。
その、帰り道。
さっきから私は佇んでいる。梶くんの店のドアの前で。
(ん〜……飲みたい、でも……入りづらい)
立ってるのも辛くなり、その場でうずくまる。
ーチーン!
(あ、やばっ……)
そう思った瞬間、開かれたエレベーターの扉から姿を現したのは……風香だった。
「優月、何やってんの」
冷ややかな目をする風香。
「あ、いや……」
っと起き上がろうとしたのに、脚力が言う事を聞かずバランスを崩した。
ードテッ!
爆笑する私達の声に気づいて、梶くんが出て来た。
「アンタ達、なに当店の前で騒いでんのよ」
3人で爆笑して、モヤモヤが晴れた。
でも、蓮に会えた事は言ってない。
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