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「お寛ぎ頂いてますか?」
だなんて、何その口調……。
「お前、全然違うだろ!」
すかさず店長に突っ込まれている。
「何の事だか……」
何キャラよ!という変貌。
久しぶりに見る後輩は、とても頼もしく成長している。負けらんないなあ、と気合が入る。
「センパイ、気付きました?」
耳元でこっそり囁く由紀乃。『何に?』と聞き返す。
すると、目の前に出されたデザートプレート。
ほんのり黄色いドーム型のムース?が、砕かれた黒いゼリー?の上に浮かんでいる。ゼリーには、星屑のようにキラキラした金箔が掛かっていてとても綺麗だ。
「うわー、綺麗……何これ!」
思わず声が出ちゃう位。
すると、由紀乃が私にメニューを見せる。
メニュー名には、〜優月 yuzuki〜と書かれていた。
(…え……)
「珈琲ゼリーの上に柚子のムースを乗せた、日本の優しい月夜をイメージした、シェフ渾身のデザートとなっております」
そうメニュー紹介すると、耳元で『やんなっちゃいますね、ラブレターみたい』と囁いた。
(な…何それ……)
目の前が突然、霧がかかったようにぼやけた。
「それでは、シェフの登場でーす」
由紀乃が両手を出した方から歩いて来たのは、サトハル。
伸びた髪を後ろで1つにまとめ、ネイビーのシャツに腰から下の長めのソムリエエプロンを着けた姿は、知らない人みたい。
「このデザート、よく考えたなぁ」
空気を読まない店長が、さっさとスプーンを挿して口に運ぶ。
「すぐ近くに外資系の大きなホテルもあるので、そこの外国人客を意識してみたんですよね。口に合いました?」
なんてカッコイイ事言っちゃって。店長も『お前も食え!美味いぞ』なんて言ってるし。
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