転機

3/5
前へ
/34ページ
次へ
  ……グッフェッ!!!  (ヤッバい!!……痛い……!!!)  ビールが変なとこに入ってしまって悶絶する。  「おい大丈夫か!意地汚く焦って飲むからだよ」  奢りだと思って……とブツブツ言いながらも新しいオシボリを貰ってくれるサトハル。  「何ですか!」  「……何がだよ」  「……大事な、話」  まさか……と思いつつ、ドキドキする私。  「……あぁ、いやさ打診あったんだわ……俺」  を焼き鳥頬張りながらするサトハル。  「え??」    「ススキノ寄りに、もう一軒新しい店出すんだと。……それで、俺に新店の店長をやってくれないかって」  (……なんだ、仕事の話か)  ドキドキして損した。  「……やればいいしょ」  今日はなんだか気持ちが忙しい、飲もう、食べよう。  「何怒ってんだよ」  「怒ってないよ!」  の声は、確かに怒ってた。  「いやさ、それで……優月お前も一緒に来ないか?」  私の焼き鳥を口に運ぶ手が止まる。  「……ハンレ!?」  何で、と言いたいつもり。  「これでもさ、店を一つ任されるとなると……ちょっと怖気付くわけ。でもそこに、気の知れた優月が一緒に来てくれると正直、助かるんだわ」  「お前、忙しい時ほど店回すの上手いし。早川も育って来たろ?店長にも、渋々だけど……了承して貰った」  見た事ない位、真剣な顔をするから……茶化す事も出来ない。  でもサトハルが私の事をそんな風に見ててくれたんだと思うと、正直嬉しかった。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加