藤ノ木古墳

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古墳発見からここまで、調査に次ぐ調査で、3年もかかったのだ。古墳発見のニュースの時はピカピカの1年生だった2人は、現在、小学4年生だ。 そして、いよいよ明後日、石棺の蓋が開けられるのだ。 「ファイバースコープの映像、めっちゃ興奮したなあ。こんな小さい町が、毎日テレビで流れてお祭り騒ぎやったもんなあ」 「明後日になったら、もっとすごいで。せやから、今のうちに石棺を見ておくんや」 石棺が開けられた後では、警備が厳しくてとても近づけないだろう。だから、タクミとケントは、その前に古墳に忍び込んだのだった。 午後8時になると警備の人がいなくなることを、1週間前から調べておいた。警備の甘さに驚くが、おかげで、簡単に古墳の中に入ることができた。今は午後9時。親には、お互いの家に忘れ物をしたと言って出てきた。石棺を見るだけだ。10時には帰れるだろう。 さっきは怖がっていたケントの方が、いきいきした足取りで、どんどん古墳の中に入っていく。後ろをついていくタクミは、慎重に、2人の足元を懐中電灯で照らしながら歩いた。
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