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「うっわああああああああああッ! !」
タクミの叫び声でケントが目を覚ました。そして、男を見て、より大きな声で、
「ぎゃあああああああああああッ! !」
と、叫んだ。
2人は手を取り合って、古墳から逃げ出そうとした。しかし、なぜか足が動かない。タクミは、恐怖心と戦いながらも、冷静に、男を観察した。
身長160cmぐらいで、がっしりした顔と体つきをしている。年齢は35歳ぐらいか。絵本で見た、ヤマトタケルノミコトのような、だぶだぶの、白いパジャマみたいな服。髪も、ヤマトタケルノミコトのように、顔の両サイドで結わえた形をしていて、首には、色とりどりのガラス玉のネックレスをしている。そして、金の飾りのついた、外国の木グツのような形の靴。
…もしや、この人は…
「あ、あなたは、もしかして、ひ、被葬者の、か、方ですか…?」
「いかにも、そうだ」
ゆ、幽霊! ! 2人は崩れ落ちそうになるのを、必死でこらえた。崩れ落ちようにも、足が動かないのだ。
「お前たちに、頼みがある」
「頼みって、何ですか…?」
ケントは、半泣きだ。
「石棺を、開けないでほしい。このまま、静かに眠らせてほしい。発掘責任者に、そう伝えてくれないか」
タクミとケントは顔を見合わせた。
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