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「おじさん、残念ですが、今さら僕らが言ったって無理だと思います。日本中のみんなが、石棺が開くのを楽しみにしているんです。開けるな、なんて言ったら、みんなガッカリしますよ」
「人の墓を暴くのが、そんなに楽しいか…。なんと、悪趣味な奴らだ」
幽霊には違いないけど、なんとなく、話の通じる幽霊らしい。好奇心が勝って、タクミは訊いた。
「ところで、おじさんのお名前は何て仰るのですか?」
「わしは、泊瀬部皇子。死んでからは、崇峻天皇と名付けられたらしいが」
「天皇…」
天皇といえば、毎年8月15日のお昼に、大量の菊の花の真ん中で手紙を読んでる、メガネのおじいさんだよね…ええッ!
「あの、天皇陛下と同じ立場の人、ということですか?」
「まあ、そうだな。今の天皇の、ずうっと昔の祖先、ということになる」
「うそッ!」
タクミとケントは色めき立った。
日本で一番偉い人の祖先が(幽霊だけど)、目の前にいる!
「おじさんは、あ、すみません、崇峻天皇は、何が原因でお亡くなりになったのですか?」
「おじさんでいいよ。うーん、君たちにはちょっと難しいかもしれんが、蘇我馬子っていう当時の権力者の罠に嵌まって、暗殺されたんだな」
「ぼく、そのこと、マンガで読みましたよ!」
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