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ケントが横から口を出した。
「なんか、今までの天皇の中で、家来に殺されたのは崇峻天皇だけだって、描いてた」
ケント、失礼なことを言うな! タクミはケントの得意顔を睨んだ。
「うーん、どうも、そうらしいな。いや、お恥ずかしい」
おじさんは、いや、天皇は、本当にバツの悪そうな顔をして、頭をかいた。よく見ると、俳優の田島光司に似ていて、なかなか男前だ。
「わしは、本当は天皇なんかになりたくなかった。政治のドロドロなんかに関わりたくなかったんだ。でも、他に誰もやる者がいなかったから…。本当は、花や雲を愛で、歌を詠んで一生を終えたかった」
そうすれば、暗殺されることもなかっただろうに。タクミは、天皇がちょっとかわいそうになった。
「そこへいくと、厩戸なんか、うまいことやったなあと思うよ。天皇にさせられないよう、うまく立ち回ってね。頭いいよねー。あ、厩戸って、君らには、聖徳太子といったほうが、わかりやすいかな」
「聖徳太子だったら、知ってる!」
2人は声をそろえて言った。
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