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3月15日
卒業式。3年生はもちろん、お世話になった人や憧れの人を想う下級生も泣いていた。
式の後、知り合いの先輩に挨拶をしようと教室に行ったら、そこにはかわいいのになかなか彼氏を作らない、といわれていた3年のユカ先輩と同級生でテニス部の西浦蓮がいた。
「結局ごまかされて終わっちゃうのね」そういってユカ先輩は机に腰掛けたままの西浦にキスをした。
見ちゃいけないものを見てしまった。
D A Y S
4月6日
中学3年になった。知ってる友達がいるかどうか不安でドキドキしながらのぞいた新しいクラスで一番最初に目に入ってきたのは、明るい色した髪の男。
私は、西浦と同じクラスになった。
4月7日
担任の先生が、しばらくの間席替えをしないといった。今座っているのは名前順。
私は『相原』
彼は『西浦』
一学期はつまらないかも。
5月8日
ゴールデンウィーク明け、西浦は真っ黒に日焼けしていた。
テニスの練習で焼けたみたいだよ、と隣りの席の子がいってた。
西浦のところには他のクラスの派手めな女の子達がよく遊びに来る。
楽しそうに喋ってるわりに目が笑ってないときがあって、本当は彼女達とこうしていることが好きじゃないのかもしれない、と思った。
私はまだ西浦と話をしたことがない。
5月22日
いきなりの席替え。
私のトナリに、明るい(髪の)男。
5月23日
西浦と少しずつ話をするようになった。
もう少し仲良くなれたら、ユカ先輩とどうなったのか訊いてみようかな。
5月26日
いきなり西浦に「希!」と下の名前で呼ばれて焦った。
西浦のことを好きっぽい女の子達からの視線が痛い。
5月31日
私のケータイに西浦の電話番号とLINEのIDが入った。
夜部屋でケータイを眺めていたら西浦からLINE。
『やほー!今何してた?』
『今マキちゃんに借りたマンガ読んでたー』
嘘。ちょっとだけあなたのことを考えてました。
6月7日
昨日の夜に『明日試合があるから応援よろしく!』と西浦からLINE。
休日だけど頑張って早起きしてテニスコートに行ったら、西浦は見たことのないような真剣な顔をしてコートに立っていた。
『次勝てたら全国大会行けるんだ』と言った西浦は知らない男の人みたいで、なんだかドキドキした。
6月14日
関東大会終了。個人戦で全国行けるんだって。思ってたよりもっと凄いんだ!
6月26日
学校帰りに、こないだ試合を見に来てくれたお礼、といって西浦が私を連れて行ったのは駅前の小さなケーキ屋さん。迷わず選んだいちごのケーキは本当においしかった。
帰りに家まで送ってくれた西浦と、初めて手を繋いだ。
心臓が左手に移動してしまった、初夏の夕暮れ。
7月5日
期末テストが始まった。けっこうイケてる気がする。
7月19日
一学期終了。長い夏休みが始まる。
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