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それから一週間が過ぎた。
八月も終わろうとする日の夕暮れ、僕は、とあるウェブサイトにアクセスしていた。
今日は、僕が応募した流星文学新人賞の二次選考結果発表日だ。
期待と不安が入り混じりながら、僕は何度F5ボタンを押して、画面をリロードしていた。なかなか結果発表の画面は現れない。
二次選考通過すれば、次は最終選考、そこを通過すれば賞を貰える。そうなれば作家として生きていく道が拓かれる。もちろんデビューすればそれだけで生きていけるわけではないと知っている。
でも、デビューしなければ、何も始まらない。
僕は何度目かのF5ボタンを押した。
これまでとは異なり「二次選考結果発表のお知らせ」というリンクが現れた。
待っていた。このリンクが現れるのを待っていた。
しかし、いざ現れると、このリンクを押すことが憚られる。
もしかしたら通過していないのではないか?
その不安が僕を付きまとうからだ。
マウスカーソルをあちらこちらに移動させながら、数分悩み、僕はわずかな勇気を絞り出して、リンクをクリックした。
「流星文学新人賞 二次選考結果」とタイトルが書かれた画面が表示された。僕は高鳴る胸の鼓動に耐えながら、画面を下へとスクロールさせていく。
僕の知らない作家の名前、タイトルが表示される。年齢だけならば僕と同じ年もいる。誰か、誰か、僕の名前を。
表の最後までスクロールした。
もう一度、上に戻ってからまた下へスクロールした。
何度見ても、僕の名前はどこにもなかった。
椅子の背もたれに身を任せて、天井を見上げる。
「月斗もオレも同じか……」
進みたい道を自分で選んで、結果が出なかった。
結局、月斗を軽蔑しておきながら、僕も変わらない。僕も何も結果を出せなかった。
エアコンの効いた部屋なのに、なんだか室温が暑苦しく感じた。
時計を見ると、もう塾の時間だった。
サボってしまいたい気分だったが、他にやることもないので、僕は準備を始めた。
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