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家に帰ってから、僕は自分の部屋で、ベッドに寝転んで窓の向こうをみていた。部屋の明かりも点けずに。
正直、月斗のあんな姿を見るとは思わなかった。
月斗は、小学校、中学校と栄光の道を進んでいた。
きっといつかはプロサッカー選手に、もしかしたら日本代表になることもあるんじゃないか。そう思わされるぐらい輝いていた。
しかし、現実は甘くなかったということだろう。ユースを辞めて、高校も辞めてしまった。もう栄光の道というわけにはいかないだろう。
結果論だが、もし月斗がこの町に残っていれば、今頃はエースとして活躍し続けていただろう。
実際、月斗の影に隠れていたある同級生の松島は、いまは県内の高校で名を馳せ、この夏のインターハイ予選は県ベスト4だった。
小学校でサッカーを辞めた僕に言われたくはないだろうが、月斗は自分の選択が正しかったと思っているだろうか。
「オレなら後悔するな」
そう呟いて、僕は目を閉じた。
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