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それから数日が過ぎた。
また僕が塾の帰りに中学校の脇を通ると、グラウンドに照明が点いていた。
月斗がまた練習しているのだろう。
そう思ったが僕は止まるつもりはなく、そのまま通りすぎようとした。しかし、ある光景が目に飛び込んできて、僕は思わず自転車を止めた。ブレーキの音が響くぐらいに。
グラウンドには、月斗がいた。
そして、もう一人、理帆の姿があった。
何を話しているかまではわからないが、二人は笑顔で楽しそうにしていた。小学校時代から知り合いの二人が話していることに何の問題もない。
だけど、僕はなんだか胸の奥にモヤモヤするものを感じていた。
声をかけるべきか、しばらくの間、僕は悩んでいたがペダルに足をかけた。額に感じる汗をぬぐって、僕はペダルを漕ぎ、進み始めた。
蝉の声がうるさくて、僕はペダルを漕ぐスピードを上げた。
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