第十一章 おかえり

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「え…?マジか?なぁ、佐屋、この店員さん、オレにそっくりだけど…」  本気で驚いてみせる鳴海に吹き出しそうになりながら、佐屋は大きく頷いた。 「大我君、ここでバイトしていたんだ?知らなかったよ」 「まぁな。だってバイト始めてまだ一週間かそこらだし」 「ほやほやの割にはベテラン感あるよ」 「コンビニのバイトは、始めてじゃないんだ。前にちょっとだけやったことあるから」  佐屋と大我のやり取りをピンポンラリーを見ているかのように鳴海はただただ見ている。それに気づいて佐屋はうっかりしていたとばかりに鳴海に説明を始めた。 「鳴海、彼が新宿北山工業高校の坂下大我君だよ。彼も少々やんちゃなところがあってね、おまけに君にそっくりだったから今回のトラブルになってしまったんだ」  すると佐屋に続き、大我はバツが悪そうな顔をしてみせた。 「……悪かったな。こんな近くに自分に似たヤツがいるなんて考えもしなかったからよ」
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