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ジェンマ0 プロローグ
ここは奈落の底に存在する魔族の世界、魔界だ。薄いライラック色の空に、藍白色に光る太陽。そして、夜空に並ぶ3つの月。ここ、魔界に住む魔族の一つである悪魔族には、男女に差別はなく、全ては実力と生涯蓄積する実績で図られる。80歳から220歳の若い悪魔たちは、例外なく悪魔学校に通い、家のしがらみなしに自分の力で自分の階級を決める。この140年間、その若い悪魔たちは、いろんなことを学び、経験を蓄積し、パートナーを探し、『ディアボルス・アラス』を迎える。『ディアボルス・アラス』とは、悪魔族にとって一番大事な時期、翼が生える時期である。悪魔は翼なしに生まれ、90歳から120歳の間に『ディアボルス・アラス』を迎える。早ければ早いほど、魔力が大きいことを意味し、遅ければ遅いほど、魔力が小さいことを意味するこの出来事は、魔法特化である悪魔たちにとって、魔力量が基準であり、一番高く評価されるものである。
悪魔のパートナーリングシステムは広く言えば、恋人と同じ概念を持つものだ。しかし、大昔から存在するこのシステムが作られた一番の理由は、ディアボルス・アラスを迎えるときに感じる痛みを和らげ、気を紛らわすためだった。自由主義者の多い悪魔たちは、理不尽な理屈とひねくれた性格に加え、感情に逆らえない生き物でもある。感情の全てはその赤く、ルビー色に染まる瞳が語ってくれる。そんな世界の悪魔学校で、パートナーになる二魔の物語が始まる。黄玉の瞳を持つ悪魔と濃いワイン色の右目を持つ悪魔の甘くて、スパイシーな恋物語が始まる。
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