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ジェンマ11 初デート編・メルムの口付け
メルムはさりげなく自分の手を握るクリソライトの手に自分の指を絡み合わせ、握り返した。クリソライトは目を丸くし、自分の手を見てからメルムの方へと視線を向けた。キョトンとしたクリソライトの顔を見て、メルムの胸がギュウッとなった。学校では見られないクリソライトのいろんな表情を見たメルムは、胸の中にある何かが晴れたことを感じた。
`先輩もただ一魔の悪魔なんだね、、、可愛い、、`
哀れなメルムはまたもやそんな呑気なことを思いながら、少し震える自分の右手に力を入れて、握りを強くした。
「あの、、先輩、こっちに行きましょうか?」
メルムはクリソライトの手を取り、歩き出した。無言のままでいるクリソライトを引くメルムは、鼓膜を打つ自分の鼓動を耳にしながら、足を動かし、公園を通り、魔のいないところにある東屋に行った。
ドクン ドクン ドクン
メルムの鼓動が高鳴るたびに瞳から漏れ出る赤が強く光り輝く。メルムは握ったクリソライトの手を外し、ゆっくりとクリソライトに体を向け、視線を向けた。ぶつかり合った視線。メルムの目をまっすぐ見る黄玉の瞳。上から見る黄玉の瞳は長いヴェールに守られて、とても可愛らしかった。可愛らしい顔に似合わない目つきでさえ、今は可愛く見えるメルム。
『悪魔は自分の気持ちに素直な生き物だ。その赤く染まる、ルビー色に輝く瞳が全てを語ってくれる。』
`ああぁ、僕の可愛いメルム。可愛い君を僕はどうすればいいのかな。僕の大切な…大切な…獲物。`
メルムは自分の右手をクリソライトの左頬に当て、クリソライトの顔を上へとゆっくり向けさせた。自分の背中をカーブさせ、顔をクリソライトの顔に近づき、クリソライトの唇に自分の唇を当てた。目を瞑ったメルムは、クリソライトの柔らかい唇を感じ、一度、二度、三度、キスを落とし続けた。ただ薄く溢れ出るはずだった赤は、キスをするたんびに一段、また一段、熱を熱くさせた。止まらない。止まれない。爆発した赤に身を預けたメルムは、短かったキスを荒くさせる。
タガが外れたメルムを冷静に見たクリソライトは、自分からキスを返し、カジッとメルムの唇を噛む。チクッとした痛みを感じたメルムは、ハッと目を見開いた。目の前には、自分を見つめる赤く染まった瞳がいた。唇から流れる一線の血。クリソライトはメルムの唇から流れる血を舐めあげ、自分の舌をメルムの口へと潜り込ませた。熱を放つメルムの目を見つめながら、激しくキスをするクリソライト。自分の舌でメルムの口内を舐めまわし、その柔らかい舌を吸い上げては離し、歯茎や感じやすいところに舌を動かし、こする。
「ん、、んんっ」
鉄の味がしたキスに、激しい動き。息ができないメルムはクリソライトから離れようとしたが、メルムの顔を両手で固定したクリソライトは、メルムを逃さなかった。ビクビクとメルムの体は震えはじめた時、反応の全てを逃すことなく捉えたクリソライトは、メルムの頬を固定した右手をメルムの耳へと滑らせ、中指を耳の中に突っ込んだ。
ゾク
クリソライトの指が自分の耳に入るたび、メルムの体はビクッと跳ねる。電流が脳に流れたような感覚に支配されるメルムは、腰から力が抜け始めた。口内と耳を同時に攻められたメルムは、呼吸困難と激しい快感で頭が真っ白になった。力なく、落ちそうになったメルムの唇を離し、体を支えるクリソライトは、そのままメルムをゆっくり腰を落とさせた。
「ハァ、、ハァ、、ハァ、、」
呼吸を荒くするメルム。赤く染まった目でそれを鋭く見るクリソライト。地面に顔をうつむけながら、肩を上下させたメルムの頸にクリソライトは自分の指で弱く触れた。熱のまだ治らないメルムは、ビクッと体をビクつかせ、クリソライトへと弱く視線を向けた。
「メルム。」
そう呼ぶクリソライトの瞳は細く、冷たく、鋭かった。そのような視線でメルムの目を見つめ返したクリソライト。
「自分から初めて動くのは、僕もとても嬉しい。けど、僕の言うこと守らなかったね、、、帰ったら`お仕置き`だよ」
そういったクリソライトは赤く染まる瞳を優しく細め、微笑んだ。
冷たい視線のはずなのに、瞳の奥深くに潜む熱く燃え盛るような炎がチラチラと見えるクリソライトの瞳を赤いままの目でメルムは見つめる。恐怖と同時に感じる喜び。胸が踊るようなクリソライトへの「期待」を覚えるメルムがいた。
`欲しい、、、`
知らない感情を抱くメルムは、自分は何が欲しいかなどまだ知らなかった。それでも「欲しい」。
つづく、、、
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