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エピローグ
それから、数年が経ち。
石っころ長者をしていた男が放り投げた梅干しの種は、雨の恵みを受け、猫が食べ残したカニカマの栄養を受け、成長した。
そうして大きくなった梅の木は、やがて綺麗な花を咲かせ、そしてたくさんの実を結んだ。
それを見たホームレスの男はその実をもぎ取り、近くの八百屋に持ち込んだ。
すると、とても質の良い梅に八百屋は驚き、売ってくれと懇願した。
職業石っころ長者と名乗った水色のスーツを着たそのホームレスは、喜んで梅を売った。
その後、その梅は"信じられないほどに質と味がいい"と全国規模で有名になり、何なら海を渡って海外にまで進出した。
そしてついでに、「その梅の第一発見者」ということで、男も有名になった。
「いやぁ、まさか適当に放った梅干しの種がどうなったのか見に行っただけなのに、こんなことになるなんて……」
そうインタビューで語る男に憧れた人々は水色のスーツを買い漁り、ついには世界規模の在庫切れを起こし、
男が石っころ長者時代に作詞作曲したという「KA☆NI☆KA☆MA☆のうた」に関しては、某音楽ランキングで驚異の60週連続1位を獲得した。
そして、石っころ長者という職業が人気になり、石っころ長者を目指す少年少女が後を絶たなくなった。
「石っころ長者は、老若男女、誰でもできる仕事です。そう、石っころさえあればね」
あらゆるプロフェッショナルを取材するテレビで、男はそう語った。
そんな男は、近いうちに石っころ長者を始めるきっかけになった憧れの人と共演する予定だという。
「ゆで玉子の選び方を、じっくりと聞きたいですね」
男はそう言いながら、次の現場へ向かったという──……。
おしまいっ!
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