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俺は夕焼けの中、家路に就いていた。
先程までてっぺんにあったはずの太陽が、どういうわけか気がついたら、もう夕焼け空になっていたのだ。
しかもカニカマを持っていたはずなのに、俺は何故か梅干しの種を持っていた。
それに、何故か腕が傷だらけになっている。
もしかしたら俺は知らぬ間にタイムトリップをしたのかもしれない、なんて思った。
それにしても何故俺は梅干しの種なんて持っているのだろうか。
世の中、不思議なこともあるもんだ。
しかしまぁ、梅干しの種ひとつではもう、物々交換なんてできるはずもない。
アパートに着いた俺は
「くそう!!」と言いながら、現在の全財産である梅干しの種をアパートの小さな共用庭に向かってぶん投げた。
その時、塀の上の猫がにゃあと鳴いた。
それを聞いた瞬間、俺はアパートの中に逃げこんだ。
何故、猫のことがこんなにも怖いのか俺には分からなかった。
けれど、また明日から始める石っころ長者の時には、猫には充分に気を付けなければいけないような、そんな気がした。
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