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「――分かったよ。涼子ちゃんが自分を燃やしたいというのなら、おばさんも一緒に燃やしてちょうだい。私も……疲れてしまったわ」
「っ……」
その言葉に、はたと我に返る。
ああ、そうだ。おばさんも、ずっと辛い思いをしてきたのだ。姉を探さず、すぐに私だけを連れて逃げたことを、ずっと後悔して来た。
両親と私に「ごめんなさい」と土下座した、おばさんの姿がよみがえる。頭を地面にこすりつけたものだから、額から血が出てしまって、私が泣きついて「もういいから!」と止めるまで、地面にへばりつくように謝り続けた、その姿が。
――おばさんは、何も悪くないのに。
「……分かったわ、おばさん」
私はそれだけつぶやくと、腰に回されたおばさんの手に自分の左手を重ねた。
そして右手の親指はライターに――。
――シュッ
――ボッ
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