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親指を素早くスライドさせライターのヤスリを回転させると火花が散り、芯から大きな炎が立ち昇った。
その火で線香をあぶり、手早く点火する。
「はい、こっちはおばさんの分」
「ありがとう、涼子ちゃん」
お祭りの日から数日後、私とおばさんは連れ立って姉の墓参りに来ていた。
もちろん、命日にも来ていたけれども、なんとなく気持ちの整理を付けたかったのだ。
太陽が容赦なく照り付ける中、おばさんと二人で線香をあげて、静かに黙祷する。
「――涼子ちゃん」
「なんですか?」
墓前で拝んだ姿勢のまま、おばさんが私に語りかける。
「そのライター、捨ててなかったのね」
「……あはは、何となく、ですけど」
線香に火を点けるのに使ったのは、あの日、私が自分もろとも神社を燃やしてしまおうとしたときに使っていたライターだ。
「今はもう、あんなことをする気はありません。安心してください」
「……何か辛いことがあったら、おばさんに相談してね?」
「は~い」
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