21人が本棚に入れています
本棚に追加
私がその人を見つけたのは、夕暮れの浜辺でゴミ拾いをしていたときでした。
昼間に海水浴を楽しんだ人々が残した大量のゴミに紛れて、その人は、首から上だけを地上に出して砂に埋もれていたのです。
「え、生首……?」
「生首じゃない。生きてるから。助けて……」
思いのほか素早い返事があり、どうやら命に別状はなさそうだと私はホッとしました。
一体いつからそこにいたのか、疲弊しきったその顔は汗と砂にまみれ、ほとんど原型がわからないほどの酷い人相になっていました。
そんな彼が、後に誰もが知る超人気イケメン俳優になるとは、その時の私は露にも思わなかったのです。
最初のコメントを投稿しよう!