十.「香りの器 高砂コレクション」

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十.「香りの器 高砂コレクション」

 突然ですが、皆さんは香水はお持ちですか? 香水は嗅覚で人を魅了する小道具ですが小瓶の形やパッケージもとても素敵ですよね。鼻が効きすぎて香水の匂いは苦手!嫌い!な人でも香水瓶の美しさは楽しめます。そんなわけで今日は新橋駅すぐ近くの汐留パナソニックミュージアムの『香りの器 高砂コレクション』展に足を運びました。  香水の歴史は紀元前3000年にまで遡れますが、その時から器は美しかったと判明しました。土器もお洒落な装飾や絵が描かれ、硝子も使われていました。また製作された当初には無かったけど長く土中に埋められたことで銀色に輝く銀化現象でショーケースの中でさらに美しく輝いていました。更に美しくなるって凄いことです。 1b55bac5-4816-47cf-9576-b477cc98a3c1  中世時代になると色付き硝子やマイセン磁器等で香水瓶が作られるようになって貴婦人がいつでも身につけられる極小サイズが現れます。ミニチュアサイズなのにデザインが精巧で惚れ惚れとしてしまうほどの美しさ……こんなのを常時持ち歩いて壊れたらどうするんだ……ショック大きい筈ですがまた買い直せるのも貴族のステータス!?  近現代になると香水会社が出来て大量生産、貴族やブルジョアで無くても頑張れば手が届くほどになります。箱根に美術館が在るルネ・ラリック製作の香水瓶も有ります。また会場にはフランスの香水ポスターも展示されていましたが、大変お洒落です。フランスという国は全てに於いてお洒落であることが求められます。というか義務?  勿論日本の「香りの器」も有ります。侘び寂びの、派手は無いけどお淑やかな美しさ……室町時代に成立した香道の道具も拝見させて頂きました。日本では着物や髪に焚き染める、に加えて香りの当てっこゲームが出来る程の娯楽も兼ね備えている……つまり香りが必ずしも体臭誤魔化しの為に使われなくなったことを指しています。鎌倉時代に入浴の習慣が広がって江戸時代にはそれが当たり前になった日本と、古代ローマの公共浴場が病気や治安悪化の温床になった影響から銭湯文化が衰退したヨーロッパ……特にフランスでは「水やお湯を浴びると病気になる!」と言われて入浴文化は忌避の対象でした。……香水文化の発展の裏にはこんな不潔な←事情が……知りたく無かった方、ごめんなさい。
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