一.「きもの KIMONO」

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一.「きもの KIMONO」

 私は着物男女の話を書いていますが、それを抜かしても着物が好きです。着物の繊細な色使いや実物よりも美しく見える花鳥や着物を着る人の佇まいに恋しています。中でも鳥が描かれた着物や帯はツボです。  そんな着物をテーマにした催しを東京国立博物館でやると言うのだから行かない手はありません。コロナコロナコロナ……で事前オンライン予約は当然ですが、なんとそれすらも完売していたのでええ、行きましたよ。開館三十分前から暑い中、当日券を求めに列に並びました。なんとかお昼頃に入館出来る運びとなって、スタバでお茶をしたり、常設展に入って時間を潰し、うきうきと中に入りました。お客さんの中には着物の人もちらほらと居て、自分も早く自分で着付けるようになるんだ、と拳を握り締めました。  入ると着物が沢山展示されていて色褪せたものも歴史が感じられて大変素晴らしかったです。江戸時代になると贅沢禁止の抵抗から染めが生まれますが、その染めも現在と負けないくらい色鮮やかで、こういった着物を毎日着ていた人たちが確かに居た、彼らも皆、私たちと同じように皆、お洒落が好きだったのだと思わずにはいられませんでした。また江戸時代になって源氏物語が町民の間で読まれるようになったそうで源氏絵巻を写したり、物語の情景を表した着物もありました。時代が進むにつれて着物がどんどんお洒落になっていくので「あー、この着物、清花に着せたいなぁ、きっと似合うだろうなぁ」と思いながら観覧しました←  特に天璋院篤姫が所蔵していたという萌黄色(もえぎいろ)に蝶の地紋、竹の雪景色を雀が飛ぶ様を描いた着物は今、着ても人目を引く大変鮮やかなものでした。天璋院篤姫は雀が好きで桐箱や他の着物にも雀がちょこちょこ、と登場します。家や個人の誇りや好きなものを反映させられるのは着物ならでは、です。また和宮所蔵の着物も有ったので公家風、武家風の対比も出来ます。……ただ一見だけでは分かりませんでした……  再び出た外は暑かったですが、外には人が沢山居ました。当日券も完売したのに入りたいと懇願する人もいました。そうだ、どんなに暑くてもどんなにコロナコロナコロナ……でも知的好奇心は持って良い。いや、其れを失くしたら人間おしまいである。
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