二十四.「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニズムからアール・ヌーヴォーへ」

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二十四.「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニズムからアール・ヌーヴォーへ」

 日本の絵画や美術は欧米にとってまだ見ぬ世界への扉の鍵、そして革命児であったに違いない。  ーーーということをパナソニック汐留美術館で行われている「ブダペスト国立工芸美術館名品展」で再確認しました。ガラス工芸品、大好きなんですよ。箱根ラリック美術館には度々足を運んでいますし、旅先にガラス工芸の展示会が有れば必ず予定に入れていました。箱根、行きたいなぁ。でも今年お疲れ様日帰り旅は鎌倉の予定なんだよなー。 48420f64-442e-4901-a090-1be1173d9691  1853年にペリーがやや無作法な来航で日本に姿を見せて以来日本文化は欧米に少しずつ伝わり、1862年のロンドン万博、1867年のパリ万博、1873年のウィーン万博等々で一般大衆に伝わって人気が爆発しました。このポスターを見ても分かる通り、玉虫のような光沢を放つ花器、写実的な蜻蛉や小鳥、そして花々……こんな色鮮やかな原色が欧米の古き良き館や城を彩っていたと思うと面白いです。というか想像つかない。超目立ちそう。食器にも蜻蛉が描かれていますが、初めて見た人はぎょっ、としたと思う← このジャポニズムで花や虫を描く自然描写が肯定され、今まで使ってこなかった鉄や硝子も使おうぜ! と自由な装飾性を謳ったアール・ヌーヴォーが生まれました。  日本の美術には金が普通に使われますが、金の使用は欧米にとって画期的で不変的な神々しさに魅了されてアメリカのティファニー社らが金を使い、花器を製作しました。金閣寺なんて金一色だし、下手したら下品の一言なのに金閣寺は歴史も相まって気品が有りますよね。作らせた人間はともかくとして←  しかし欧米人をこれだけ魅了したジャポニズムですが、日本人はどれだけ自分の文化を理解しているでしょう? 「それの何処が珍しいの?」と言われるのがオチのような気がしますが、恐らくそれを言うのはとてつもなく失礼に値すると思います。生まれてきたものは良いものも悪しきものも守らないといけない。生まれてきたものは全て歴史という人類の足跡なのだから、その足跡を消そうと目論むことは問題を先延ばしにしたり、ことを無かったことし、人間を本当の意味で死なせてしまうこととと同じ、大罪で有るのだ。
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