二十七.「キューガーデン 英国王室が愛した花々 シャーロット王妃とボタニカル・アート」

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二十七.「キューガーデン 英国王室が愛した花々 シャーロット王妃とボタニカル・アート」

 目黒雅叙園を出た後は東京都庭園美術館へ。目黒駅を通り過ぎ、白金台方面に歩くと建物と高架道路の向こうに鬱蒼とした緑が現れます。港区という都会の真ん中に、大きな庭園と美術館は有ります。 7eba3f53-e62e-49c4-adeb-76cd6fe74b83  東京都庭園美術館は昔、皇室で陸軍大将であった朝香宮鳩彦王(1887-1981)が皇籍を離脱する1947年まで暮らしていた屋敷でした。フランス滞在が長く、アール・デコに親しんだ影響でこの建物は日本を代表するアール・デコ建築の1つになりました。そんな皇室のお屋敷を見学してその暮らしを垣間見ながら庭園美術館として植物学の勉強も出来るのが此処です。  植物を手で紙に記すならボタニカルアートで描くものと相場が決まっていますが、ボタニカルアートって実用書に載るのが勿体ないぐらい美しいですよね。もちろん絵画に描かれる花々だって美しいのですが、詳しく描かれるからこその美しさがあります。今回は英国最大の庭園「キューガーデン」が所蔵している18〜19世紀の貴重なボタニカルアートとそのキューガーデンを発展させたジョージ3世妃シャーロット(1744-1818)の愛したウェッジウッド食器が展示されています。  シャーロット王妃はザクセンの小さな公国の公女として生まれ、英国王室内の争いが凄かったなかで「敢えて政治に介入しない」という条件を満たして王室に嫁ぎました。確かに政治には介入しませんでしたが、頭の良い女性だったようでキューガーデンを大きくし、科学者たちを援助しました。お陰で自然科学分野は飛躍的に発展しました。当時は教会や王室ありきの頭の固い考え方から合理的な啓蒙主義が生まれ始めた時代でもあり、「科学」分野の発展は必然だったと言えます。  シャーロット王妃時代の科学者としてはあのチャールズ・ダーウィン(1809-1882)の祖父、エラズマス・ダーウィン(1731-1802)がいて肖像画もありました。が、まさかそのシャーロット王妃に気に入られ英国御用達になったウェッジウッドの創業者と親戚だったとは。  ボタニカルアートを堪能したあとは旧朝香宮邸の庭園を散策。日本庭園の紅葉がちょうどグラデーションを作っていて綺麗でしたよ〜何故か池の鯉はしん……と動いていませんでしたが。なんでだよ! d21a9dbd-c6c5-4d2b-9e54-adce302a20f7 f168dab9-5fff-4f31-b899-92f2540ad107  こちらは鏡の国の紅葉。遠くから撮ったのでぼんやりしてますが……  やっぱり庭園を見るなら涼しくて草花も綺麗な春か秋だよね。
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