二.「The Ukiyoe 2020 日本三大浮世絵コレクション」

1/1
前へ
/53ページ
次へ

二.「The Ukiyoe 2020 日本三大浮世絵コレクション」

 前回に引き続き、再び上野。東京都美術館で開催されている「The Ukiyoe 2020」にやって来ました。こちらも事前予約制なのですが、チケット買わずに来たら直ぐに入れるのでなかなか合理的だと思ったり。  浮世絵は日本独自の絵画で、貴族の館にどーんと置いて鑑賞の為というよりも歌舞伎俳優や美人遊女・芸者のブロマイドとかグリーティングカードのように告知したり、交換したり、団扇の柄になったりと実用的な一面が大きいと思います。前者とか今の私たちと同じことをしてますね。一気に親近感が湧きます。  当時の人には普通の存在、日々の生活を楽しくしてくれるようなそんな存在でしたが、一方で浮世絵無しにゴッホや印象派があり得なかったと思うと歴史って分かりません。浮世絵の三文字を美術史と世界史に遺した当時の人たちは偉人です。  浮世絵というと写楽や歌川広重や国芳ぐらいしか知らなかったのですが、3人は登場としては後の方で1600年頃から浮世絵は存在していました。西洋の画家が神話や逸話等を絵にすることは普通でしたが、浮世絵でも龍神に霊玉を奪われた藤原鎌足が海女に命じて龍宮に玉を取り返しに行く、という謡曲「海人」のように逸話を描いたとは意外でした。勿論色が限られていますから色彩には乏しいですが、着物の柄や建物、自然描写がとても緻密に描かれているので其れは全く気にならないです。というか問題ではない。本当に舌を巻くほど緻密で恐れ入ります。西洋画のようにダイナミックなところは無いけれど繊細でいつまでも見ていたくなるような、そんなところがあります……  浮世絵ですからあの「富嶽三十六景」や「江戸百景」の一部も展示されています。やはりあの今にも崩れそうな大波の描写は波を描いた絵の中で最高傑作だと思います。また天保の改革で遊女を描くことは禁じられましたが、「なら、これでどうだ!」とばかりに人間全部を雀に変えた「里すゞめねぐらの仮宿」には笑ったし、四谷怪談の巨大髑髏はかなり怖い。そうだよね、人間描きたいものを描きたいよね!   今日は曇り空ですがやはり暑いし、中はクーラーで冷え冷え。体温調整が難しいですが、上着を持って楽しく落ち着いて良い気分で鑑賞したいものです。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加