四十四.「特別展アリスーーへんてこりん、へんてこりんな世界」

1/1
前へ
/53ページ
次へ

四十四.「特別展アリスーーへんてこりん、へんてこりんな世界」

 会社と家を往復するだけの日常にはファンタジーが圧倒的に足りていません。コロナのせいで冒険も足りません。2つを同時に満たすにはどうすれば良いか?  そんなわけで行ってきました。『不思議の国のアリス』の世界です。知らない人間はいない、児童文学の金字塔。今までに無かった世界観は発表当時から大人子どもの心を揺さぶり続け、やがて後々の文学、ファッションや政治の世界で影響を与えることになります。 c18ca5a4-798d-4a9c-9c4a-e799928833c9  ルイス・キャロルことチャールス・ラドヴィッジ・ドジスン(1832〜1898)は作家である前に数学者であり写真家でした。展示にはアリスの挿絵だけでは無く、キャロルが撮った写真や使っていたものと同じカメラ、アリスのモデルになった少女のような富裕層令嬢の絵画も沢山展示されていました。ちなみに写真が流行したのはヴィクリア王朝最盛期よりも少し前。市場に出回るようになったのは1901年だと言われていますから非常に高い趣味です。キャロルって結構良い暮らししてたんですね←  アリスのモデルになったのはキャロルが親しくしていたリデル家の令嬢アリス。彼女がキャロルが語ったこの話を気に入らなければ、草稿を見せた友人ジョン・マクドナルドの息子が「この本が6万部有れば良いね!」と言わなければ『不思議の国のアリス』は存在せず、現代世界は冒険とナンセンスの肯定の無いつまらない世界になったかもしれません。アリスは好奇心、自立心、学ぶ心を備えた、最初期のヒロインと言われています。アリスはまさに子どもたちの誰もが好きになる女の子だったのです。  教訓を取り込むのが当たり前だった児童文学に、その要素の無いナンセンスだらけのアリスの物語は画期的で1865年に発表されてからたった30年で世界中で翻訳されるに至りました。文豪マニアなら知らない者はいない芥川龍之介と菊池寛も翻訳しました。どんな訳にしたのか読みたいところです。  青いスカートは少女の憧れ、トランプ柄と時計といったモチーフはファッションに取り入れると一気にファンタジーな可愛いを演出できます。テレビ、映画、ミュージカル、舞台……今やアリスを取り上げないメディア媒体は1つも有りません。宝塚ですらアリスを取り上げています。そして今、アリスのハートの女王に立ち向かう精神は抑圧した人々を勇気づけています。アリスを構成した全ての世界観、全ての言葉が私たちの世界を彩っています。そんな作品はなかなか有りません。あ、ホームズぐらい?  これからもアリスは児童文学という枠組みを超えて私たちの世界に冒険とナンセンスを肯定する心をもたらすでしょう。まず私はアリス物語をきちんと読むところから始めたいと思います← d91fb3a1-eb7b-4ec9-93bd-d85bd0ed9561 7c79b2a6-9db8-4b9b-9e86-7ecb5181eebc  おまけ。今日の昼ごはん。 95518cc8-882b-473b-b993-405a1a5bcab5  バンズは大豆ミートで出来ているヘルシー……?なハンバーガーです。ちなみにナイフとフォークで食べます。初めて使いましたわ。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加