七.「KING & QUEEN展ー名画で読み解く英国王室物語ー」

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七.「KING & QUEEN展ー名画で読み解く英国王室物語ー」

 上野、再々訪。英国のロイヤル・ファミリーに会いに行きました。  ……というのは大嘘で上野の森美術館で行われている「KING &QUEEN展」を観に行きました。平日だったので当日券で入れました。早くマスクが無くても何とも思わない世の中に戻りますよーに!  王国ならどこでもそうだと思うのですが、英国王室に「肖像画」は必要不可欠でした。自らの威厳を示す為に、家族の証を遺す為に、国民にイメージアップを図ったり……絵は一瞬の切り取りです。そしてその人の本質を抉り取ります。写真はもろに、絵は熟考の果てに。テューダー朝「処女女王」エリザベス女王の肖像がはかなり多いのですが、1番有名な《アルマダの肖像》はスペインの無敵艦隊を撃ち破った記念に描かれたとされ、政治的な意味もあった様です。絵一つでさまざまなメッセージを込める……400年も経てばこれらは皆「素晴らしい芸術品」なのですが、当時はまだ実用的でした。全然関係ないですが、この絵を見て漫画「王国の子」を思い出しました。英国そっくりな架空の王国の一族には代々替え玉が存在し、それに巻き込まれた少年の話です。  英国王室の面々は家庭面において、国民にどう見られているのかも重要視していたようで子どもたちの絵も有りました。外国から嫁いで来た王妃様の美しさ、王子と王女の可愛らしさ……クロムウェルによって処刑されたチャールズ1世の息子、2世の子ども時代の絵と最晩年の絵は隣り合わせだったのですが、典型的なビフォーアフターで笑いました。子ども時代はあんな天使だったのに……←  ハノーヴァー朝ヴィクトリア女王の頃から写真も登場します。夫君アルバート公と仲睦まじかった2人は度々一緒に居て微笑ましかったですが、亡くなった後もそれを引き摺り、その写真をきっかけに批判されることになろうとは……沢山の流行と定番を作ったヴィクトリア女王は「理想的な家庭」のテンプレも作り上げたようです。  現代に近づくともう写真だけになり、エリザベス2世は勿論のこと、現代のロイヤル・ファミリーから故ダイアナ妃まで勢揃い。エリザベス2世はあまり家庭的な面が想像できなかったのですが、赤ん坊のチャールズ殿下をおんぶっている写真があり、イメージ目的なのかもしれませんがやはり微笑ましくなりました。故ダイアナ妃の写真は一際多く、なんと大きな肖像画まで有りました。やはり彼女は王室にとって大きな存在感の持ち主だったのですね……  今、肖像画が「素晴らしい芸術品」として世に遺り、私たちに想像力と当時に思いを馳せらせる力を呼び起こすように、今のロイヤル・ファミリーの写真も肖像画のように「素晴らしい芸術品」となって「当時、こんな彼らが居た」と時に王室の人間として、時に1人の人間として彼らの存在を感じられる日がいつか必ず来ますように。
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