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5-1
コンビ結成から丁度半年が経った10月3日、
異様な風貌の中年男性がフジワラデラックスの公演を観に来ていた。
白パンツ一丁の出で立ちに加え、
左レンズの粉砕したサングラスをかけており、
頭髪は無色透明に染めている。
まるで露出狂のお手本のような人だと言えよう。
ライブ終了後、おじさんが二人に声をかけてきた。
「君たちSNSでよく見る顔だね。音楽界に興味はないかい?」
「そりゃ勿論あるけど、おっさんが言える台詞か?」
小野寺が食ってかかる。
「ハハハハハ、そういえば自己紹介がまだだったね。私はこういう者さ」
おじさんが差し出してきた名刺には、
ーーセツナプロダクション代表取締役 マジカル柴田ーー
と書かれてある。
セツナプロダクション、藤原は過去にも聞いた名である気がした。
あ!ブレイドエースをプロデュースしている事務所ではないか!
おじさんのあまりにも激しいギャップに衝撃を受け、
名刺をビリビリに引き裂いてしまった藤原がそこにはいた。
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