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「ん?オレは世界を取り戻すとか興味ないからな…」
何日も手入れされていない、ボサボサな髪をピッピっと、手で払い、とりあえず簡単に整える。
アクビをしてやる気のない表情を浮かべる彼の腰には勇者の証である剣が鞘に収められてぶら下げられているが、もうしばらく使われた様子はない。
首にはキラキラ光る黄金のチョーカーをつけていて、それが太陽の光を跳ね返す。
透明な鎖がなにかと繋がっているのか、時々勝手に動いている。
砂漠の町イスル、ここも、町の大半が魔物との戦いで崩れて瓦礫化してしまっている。
しかし、この町の人たちは、まるでそれに反するように明るく復興にも積極的で、そんなこの町にはたくさんの旅する勇者たちが訪れるようになり、マーケットが発達していた。
たくさんの、物売りのテントが並ぶ道をぶらぶらと、目的もなさそうに歩く。
「お兄さん、冷たいお水いかがかね?」
水売りのおばさんに声をかけられ、足を止める。
「水はいらねぇ…」
青年は突然やる気のない表情を、急に強張らせておばさんを睨む。おばさんは、驚いて一歩引く。
「水が、血になる前に…逃げな!」
「魔物が来るのかい!?」
「ああ…でっかいのがな!」
青年は、そう言って首のチョーカーを3回引っ張ってなにか合図してから走り出す!
ここからでは、全く見えない町の入り口の門の方から巨大な魔物が向かってくるのが、わかったのだろうか!?
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