第六話 「よみがえる記憶」

9/9
前へ
/54ページ
次へ
「まぁ、いいじゃないの。仔猫も無事に見つかったわけだし。」 「ちぇっ!!」 涼香と菖蒲は庭掃除をしていた。 菖蒲は庭の掃除をしながら、ブツクサ文句を言っている。 すると、そこへ伊吹がやってきた。 「おう!伊吹!お前もまた、タダ働きさせられちまったな~!」 菖蒲は掃除していた箒を放り投げ、縁側に座った。 「こら、菖蒲!あんたはまたそうやって、掃除サボって!」 菖蒲は、涼香の声など全く無視している。 「伊吹も何か言ってやってよ~!」 涼香が何食わぬ顔で言った言葉に、菖蒲はきょとんとした。 「あれ?涼香、お前いつから、伊吹のこと名前で呼ぶようになったんだ?」 「え!?あっ!そうだ、あたし玄関掃除も頼まれてたんだった~!菖蒲、庭掃除はあとあんたがやっといてよね!それじゃ!!」 涼香はそう言い残すと、一目散に行ってしまった。 「あっ!こら、待て!涼香!あたい一人に庭掃除押し付ける気じゃないだろ~な~!!」 菖蒲が全て言い終えた頃には、そこに涼香の姿はなかった。 「ったく、涼香の野郎!後で覚えてろよ!」 菖蒲はチェッと言い、庭掃除を再開した。 そんな二人の様子を伊吹は黙って見つめていた。                  つづく
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加