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「まぁ、いいじゃないの。仔猫も無事に見つかったわけだし。」
「ちぇっ!!」
涼香と菖蒲は庭掃除をしていた。
菖蒲は庭の掃除をしながら、ブツクサ文句を言っている。
すると、そこへ伊吹がやってきた。
「おう!伊吹!お前もまた、タダ働きさせられちまったな~!」
菖蒲は掃除していた箒を放り投げ、縁側に座った。
「こら、菖蒲!あんたはまたそうやって、掃除サボって!」
菖蒲は、涼香の声など全く無視している。
「伊吹も何か言ってやってよ~!」
涼香が何食わぬ顔で言った言葉に、菖蒲はきょとんとした。
「あれ?涼香、お前いつから、伊吹のこと名前で呼ぶようになったんだ?」
「え!?あっ!そうだ、あたし玄関掃除も頼まれてたんだった~!菖蒲、庭掃除はあとあんたがやっといてよね!それじゃ!!」
涼香はそう言い残すと、一目散に行ってしまった。
「あっ!こら、待て!涼香!あたい一人に庭掃除押し付ける気じゃないだろ~な~!!」
菖蒲が全て言い終えた頃には、そこに涼香の姿はなかった。
「ったく、涼香の野郎!後で覚えてろよ!」
菖蒲はチェッと言い、庭掃除を再開した。
そんな二人の様子を伊吹は黙って見つめていた。
つづく
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