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そして、その後。
六汰と涼香と菖蒲、そして伊吹は六汰の家に来ていた。
「大丈夫?六汰?」
先ほど亭主に殴られた頬は赤く腫れており、心配そうに涼香は見つめた。
「ああ、大丈夫。それよりさっきは助けてくれてありがとうございました。」
六汰は深々と涼香たちに頭を下げた。
「そんな、あたしは何も・・。」
「いえ、あなたたちのおかげで僕も母さんも自由になった。それに・・。」
六汰は父の形見の絵を抱きしめた。
「父さんの形見もちゃんと守れた。」
そして、その絵を寝ている母親のところへ持って行った。
「母さん、見て?ちゃんと父さんの絵、守れたよ。」
六汰はそっと母親を起こし、父の形見の絵を渡した。
母親は絵の中の女性を見つめながら、目に涙を浮かべた。
「・・・あなた、六汰はちゃんと立派な男の子に育ちましたよ・・。」
そして涙を流して、そっと呟いた。
「母さん、俺もいつか必ず父さんみたいな絵師になるよ。そしたら母さんの絵、描かせてくれよ。」
「楽しみにしてるわ。それまで、頑張って長生きしなくちゃね。」
六汰と母親は互いに微笑み合った。
そんな二人の様子を涼香たちは優しく見つめていた。
そして帰り道。
「無事に六汰の絵が守れてよかったわね!」
涼香は笑顔で言った。
「さっすがあたいの贋作だな!あの亭主全く気付いてなかったぜ~!」
菖蒲も自身有り気に笑みを浮かべた。
「それにしても、あんたが助けに来てくれるとは思わなかった!」
涼香はちらりと伊吹を見ながら言った。
(やっぱりこいつ、いい奴なのかな?)
そして、少しだけ伊吹を見直した涼香。
「それにしてもあの鸚鵡、一体どうなってんだ?」
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