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「それじゃあ、日和ちゃんは森の中で迷子になった飼い猫を探してほしいって事ね?」
涼香の問いかけに少女は頷いた。
「せっかく依頼が来たってのに、ただの猫探しかよ。」
菖蒲はげんなりした様子だ。
「何言ってんのよ!こんな小さい子でも依頼が来た限りはきちんと引き受けなきゃ!何事も一番に信頼関係が大切なのよ!」
「信頼関係ね~。」
涼香たちは竜胆家の茶の間に移動して、少女の話を聞いていた。
その席には伊吹も来ていた。
「まあ、しょうがないか!ところでお嬢ちゃん、報酬は何かな~?」
菖蒲は少女の傍まで行き、胡散臭い笑みを浮かべて言った。
そんな菖蒲の頭を涼香はゴンッと一発殴った。
「いってぇぇ~!!何すんだよ!」
「あんたという人間は!こんな小さい女の子からお金を巻き上げようって言うの?」
「いや~、ほんの冗談だって~!」
「あんたが言うと冗談に聞こえないの!!」
頭をさすりながら笑う菖蒲。
「けど、第一話からずっとまともな報酬はなし。これじゃあ万屋じゃなくてただのボランティア団体だわ。」
深刻な表情で昌美は言った。
「も~!昌美姉ちゃんまで!」
「報酬はあります。これです。」
そう言うと、少女は巾着袋の中から小判を一枚取り出した。
その光景に三人は驚いた。
「ひ、日和ちゃん?この小判はどうしたの?」
「なんで、こんな小さいガキが小判なんて持ってんだよ?」
涼香と菖蒲の問いかけに少女はあっさり答えた。
「お兄ちゃんに貰ったの。お願いすればもっと貰えるよ。」
「「「何だって~!!!」」」
少女の発言に吃驚した涼香と菖蒲と昌美は三人で集まり緊急会議を始めた。
そんな三人をよそに、伊吹は冷静にお茶を啜っている。
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