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涼香たちの目の前に巨大なイノシシが現れた。
「紹介するのが遅れて悪かったな!こいつはあたいのペットで助六って言うんだ。主人であるあたいの指笛にしか反応しないんだ。」
「おい、菖蒲~、気軽に指笛吹かないでくれよな~。はぁ~あ、せっかく可愛い女の子が居ると思って来て見れば・・。」
その巨大なイノシシは物凄く残念そうな顔をして涼香を見て言った。
「なっ!何よ!あんた失礼ね!」
「僕ちん、ガキと幼児体型の色気のない女に興味ないんだよね~。」
「なんですって~!!」
涼香は怒りを露わにした。
「ちょっと菖蒲!なんなのよ?その失礼な無駄にデカいイノシシは!?」
「こいつは鼻が利くんだよ。だからさ、迷子になったって猫の普段身に着けていたものをこいつに嗅がせれば、わざわざ捜索しなくても一発で探し当てられるだろ!」
「なるほど!・・でも、本当に役に立つの?そいつ・・?」
助六は地面にゴロンと横になり、明らかにやる気のない様子だった。
菖蒲はそんな助六の耳を無理やり引っ張った。
「いててっ!何すんだよ!?この凶暴女!」
「いいから起きろ!いいか?依頼だ!!この猫の首輪の匂いを嗅いで、猫の居る場所まで案内するんだ!!」
菖蒲は少女から借りた猫の首輪を、助六の鼻に無理やり押し付けた。
「え~!!めんどい~!!」
しかし、一向に動く気配はなく、再び地面にゴロリと横になった。
「お前って奴は!!ご主人様の言うことが聞けないってのか!!」
「何がご主人さまだよ!僕ちんはお前みたいな凶暴な女のことをご主人様だと思ったことなんて一度もないね。」
「なんだと~!!」
涼香たちは呆れた様子で菖蒲と助六の様子を見ていた。
「どこがご主人様よ。全く菖蒲の言う事なんて聞かないじゃない。」
「とにかくこうしていても時間の無駄だ。捜索に行こう。」
伊吹の賢明の判断のもと涼香たちは猫の捜索を開始した。
「日和ちゃん、絶対ミミを見つけてくるから待っててね。」
「うん。」
そして、少女に見送られ涼香たちは竜胆家を出発したのであった。
助六も菖蒲に引っ張られ、強制的に同行させられた。
「離してくれよ~!こんな暴力女と猫探しなんて嫌だよ~!!」
「いいから黙って来やがれ!このスケベイノシシ!!」
そして、少女の言っていた森の周辺までたどり着いた。
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