第六話 「よみがえる記憶」

1/9
前へ
/54ページ
次へ

第六話 「よみがえる記憶」

「くそっ!!」 伊吹は涼香が転落した崖を滑るようにして下って行った。 崖はかなりの高さがある。 果たして涼香は無事なのか!? 伊吹は不安な気持ちを打ち消すようにして、崖を下って行った。 「・・・・ん・・?ここはどこ・・?」 涼香は崖から転落した際に、そのまま下まで転落した。 幸い大きな傷は負っていなかったが、どうやらしばらくの間気を失っていたらしい。 「あたし、確か足を滑らせて、そのまま落ちて行ったんだ・・。」 涼香はあたりを見回した。 昼間だと言うのに、森の中は暗く、薄気味悪いように感じた。 「どうしよう、完全に迷子になっちゃったよ。」 もはやここがどこだかも分からない。 夜になれば益々方向感覚もなくなる。 もしかしたら、このままここから出られない可能性だってある。 「・・・どうしよう・・。」 どうしようもない、不安な気持ちに駆られた。 その時。 「ミャ~~~~!!」 遠くの方で仔猫の声が聞こえた。 「今、確かに猫の声が聞こえた。・・・きっとミミちゃんがこの近くに居るんだわ!」 涼香は立ち上がり、あたりを捜索し始めた。 一方その頃、菖蒲と助六はというと・・・。 「全く、お前と言う奴は!どれだけご主人様に迷惑をかければ気が済むんだ!!」 菖蒲は何とか助六を捕まえて、森の入り口まで来ていた。 「涼香たち居ないな~。もう、森の中に入っちまったのか~。」 菖蒲はあたりを見回した。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加