0人が本棚に入れています
本棚に追加
第六話 「よみがえる記憶」
「くそっ!!」
伊吹は涼香が転落した崖を滑るようにして下って行った。
崖はかなりの高さがある。
果たして涼香は無事なのか!?
伊吹は不安な気持ちを打ち消すようにして、崖を下って行った。
「・・・・ん・・?ここはどこ・・?」
涼香は崖から転落した際に、そのまま下まで転落した。
幸い大きな傷は負っていなかったが、どうやらしばらくの間気を失っていたらしい。
「あたし、確か足を滑らせて、そのまま落ちて行ったんだ・・。」
涼香はあたりを見回した。
昼間だと言うのに、森の中は暗く、薄気味悪いように感じた。
「どうしよう、完全に迷子になっちゃったよ。」
もはやここがどこだかも分からない。
夜になれば益々方向感覚もなくなる。
もしかしたら、このままここから出られない可能性だってある。
「・・・どうしよう・・。」
どうしようもない、不安な気持ちに駆られた。
その時。
「ミャ~~~~!!」
遠くの方で仔猫の声が聞こえた。
「今、確かに猫の声が聞こえた。・・・きっとミミちゃんがこの近くに居るんだわ!」
涼香は立ち上がり、あたりを捜索し始めた。
一方その頃、菖蒲と助六はというと・・・。
「全く、お前と言う奴は!どれだけご主人様に迷惑をかければ気が済むんだ!!」
菖蒲は何とか助六を捕まえて、森の入り口まで来ていた。
「涼香たち居ないな~。もう、森の中に入っちまったのか~。」
菖蒲はあたりを見回した。
最初のコメントを投稿しよう!