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「はぁ~あ!こんな森の中猫探しとか、超めんどくさっ!」
助六は相変わらずやる気のない様子だった。
「何言ってんだよ!いいか、助六、あのガキは自分の巾着袋から小判をサラッと出したんだ!兄貴にお願いすればもっと小判を渡すと言った!これがどういうことか分かるよな?」
「・・・ということは、あの小娘、さては大金持ちの娘ってことか!?」
助六はひらめいたように言った。
「そういうことだ!この依頼が成功すりゃあ、あたい達は一生左団扇で生活が出来るんだぞ!?」
「一生・・・・左団扇・・・。ひゃっほ~いっ!!もうこんな暴力女に支配されなくて済むじゃん~♪」
助六は目を輝かせて小躍りした。
菖蒲はその様子に、納得いかない、といった表情を浮かべた。
「とにかくそういう訳だからよろしく頼むぜ、助六!さっそく涼香たちのところに案内しな!!」
「おうよ!!」
菖蒲と助六は森の中へと、歩みを進めた。
「ミミ~!どこに居るの~!?」
涼香は先ほど、仔猫の声がしたあたりを捜索していた。
「こんな森の中で、怪我とかしてなきゃいいけど・・・。そういえば、あいつはどうしたんだろう・・?」
涼香はふと、伊吹のことを思い出した。
「あの冷徹男のことだから、依頼が成功してお金さえ貰えればそれでいいと思ってるんだろうな。・・・あたしのことなんて・・。」
涼香はふと、悲しい表情を浮かべた。
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