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「ミャ~~~~ッ!!」
「大丈夫よ、あたしが絶対にあなたを日和ちゃんのところまで帰してあげるからっ!」
涼香は必至で木に登り、ようやく仔猫のところまで到達した。
しかし、仔猫までの距離がギリギリのところで手が届かない。
「もう少しで届きそうなのに!!」
「ミャ~~!」
涼香は必至で手を伸ばした。
もう、体中の力は今にも尽きそうだった。
しかし、今力を弛めてしまえば、体性が崩れ、あっという間に崖下の川に真っ逆さまである。
額に汗が流れた。
もう、体中の体力が限界を迎えていた。
「もう少し、もう少し・・・やった!!」
ようやく、仔猫に触ることが出来た。
これなら、助けられる!!
「待っててね、今助けるからっ・・・。」
一瞬、安心したせいで体の力が抜けてしまった。
「きゃああああああっ!!」
「涼香!!」
涼香はバランスを崩し、仔猫と一緒に崖下の川へと落下してしまったのだ。
バッシャ―――――ンっ!!!
思い切り、川の水に叩きつけられた。
「ごほっ、ごほっ!!」
足が届かない。
息が出来ない。
涼香は川に流されながら、必死でもがいていた。
そんな涼香の様子を見て、伊吹は何の迷いもなく、自ら川に飛び込んだ。
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