第七話 「楊貴妃の秘密を探れ!」

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「いや~、伊吹君が来てくれただけでも助かったのに、涼香ちゃんまで手伝ってくれるなんて助かるな~。」 「そんな、お役に立てて嬉しいです。」 伊吹がアルバイトをしている薬屋は、涼香たちの行きつけの薬屋だった。 そして、この薬屋の亭主の名前は“薬師唐大”と言い、涼香が幼いころから怪我をするたびにお世話になっていた。 「それにしても、涼香。どうして急に薬の勉強なんてし出したんだ?」 伊吹は不思議そうな顔で涼香を見つめた。 「ほら!昌美姉ちゃんが言うように、あたしも薬の事とか勉強しといた方がいいかな~、なんて思ってさ!!」 「そうか。いい心がけだ。」 伊吹が納得した様子で、作業を再開するのを見て、涼香はホッとした。 (言えるわけないじゃない。伊吹の事がもっと知りたくなったなんて・・・。) 前回の仔猫騒動のとき、涼香は幼い頃の記憶を思い出した。 5歳のとき、川に溺れた自分を助けた人物と、前回助けてくれた人物。 それは確かに“伊吹”だったのだ。 それ以降、彼は“伊吹”なんだと認めてしまうと、妙に意識してしまう。 伊吹に対して、どのように接していいか分からなくなってしまったのだ。 唐大は何か察したのか、そんな涼香の様子をじっと見つめていた。 「それにしても伊吹君は本当に薬に詳しいんだね。」 「はい、修行に出ている間に薬草の勉強などをしているうちに、調合も出来るようになりました。」 「そっか。勉強熱心なんだね。彼が来てくれてとっても頼もしいね、涼香ちゃん?」 唐大はニコリと微笑んで言った。 「えっ!?ああ、そうですね~。」 唐大はいきなり話を振られて、焦る涼香を見てくすくすと笑った。 伊吹はそんな二人の様子を、不思議そうな顔で見ていた。 そんな話をしていると突然、店の扉が開いた。 「た・・、助けて・・。」 顔面蒼白の女性が、ふらふらと店の中に入って来たのだ。 「どうしたんですか!?」 急いで涼香が駆け寄ると、女性はバタリと倒れた。 伊吹と唐大も慌てて駆け寄ったが、女性は意識を失っていた。 「どうやら、気を失っているようだ。とりあえず奥の処置室に運ぼう。」 唐大の判断の下、三人は女性を処置室まで運んだ。
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