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その頃、菖蒲は昌美に催促された家賃を支払うべく、アルバイトを探しに町に来ていた。
「銭湯の掃除に、城の清掃員、着ぐるみのアルバイト。う~ん、どれも時給が安いな~。」
菖蒲は頭を掻きむしりながら言った。
「なんかこう、パァ~っと大金稼ぐ方法はないのかね~。」
一人ブツブツ言っていると、町の女たちが奇妙な噂を話しているのを耳にした。
「もうね、本当に毎日毎日うるさいのなんのって!」
「本当、騒音って迷惑よね~。」
「何とか出て行ってもらえないのかしら?」
(一体何の話してんだ?)
菖蒲は住民の話に聞き耳を立てた。
一方、そのころ涼香たちは先ほどの女性を何とか処置室まで運んだ。
そして、唐大の診察が終わった。
「特に異常はないようだね。」
「良かった~。」
涼香は安堵した。
「しかし、この女性はさっき助けを求めるようなことを言っていた。」
伊吹の指摘に涼香も頷いた。
「確かにそうね。一体何があったのかしら?」
「さっき、顔色を見たときに真っ青だったから、よっぽど怖い思いをしたのかもしれないね。とりあえず、彼女が目を覚ますのを待とう。」
唐大の言葉に二人は頷いた。
ちょうどその頃、ピュンピュン丸に一人の女性が訪ねてきた。
「ここの万屋は何でも依頼を受けてくれるんですよね?」
「ええ、一体どんな依頼ですか?」
昌美は女性の只ならぬ雰囲気に、違和感を感じながらお茶を出した。
「妖怪を退治してほしいんです。“楊貴妃”名のという妖怪を・・。」
「・・へ・・?」
昌美は目を丸くした。
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