それは捨てちゃダメ

2/8
前へ
/8ページ
次へ
――夜中にうなされて目が覚めた。 眠れないのだ。 昼間はあんなに快適だったのに…… ――夢を見た。 高校時代の親友と推しのキャラクターの缶バッヂをいっぱい付けたバッグを提げ、お気に入りの甘いテイストのファッションに身を包み、アニメイベントに出かける。 その帰りに、アニメグッズの沢山置いてあるショップを覗き、疲れたらファーストフードでアニメ談義を時間の許す限り楽しむ。 そんな内容だ。 社会人になって、会社の同じ部署に大好きな先輩ができた。 優しくてルックスも良い先輩は、私以外にも秘かに素敵だなと思っている子は多いはずだ。 とてもオタ気質で、ぽっちゃり体型の私になど興味はないだろう。 ところが、この間、同期の子から耳を疑う話を聞いた。 私が欠席した飲み会で、大好きな先輩(永井(ながい)さん)が私のことを気が合いそうだと言っていたらしいのだ。 そのことに気を良くした私は、こうして(のち)に黒歴史に刻まれるであろう、今までのオタク趣味ごと断捨離するべく、過去の遺産達を次々に処分した。 のだが……
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加