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作るのは思っていたよりも簡単で、説明書に従ってパーツを嵌め込んでいくだけだった。
カチカチと無機質な音を立てて組み上がっていく『夏の思い出』。
こういう手順通りの作業をしていると小学校時代の工作とかの記憶がよみがえってくる。
なんか中途半端な大きさの本を置くやつ作ったよなぁ……とか。
裁縫道具とかエプロンとかのグッズはやたらドラゴンの柄を選んでたなぁ……とか。
そこら辺の記憶が徐々に思い出されてくると、今度は本物の〈夏の思い出〉がよみがえってきた。
一回五百円の法外な値段のくじを引いてよくわからない笛みたいなやつ当てたっけ……とか。
たこ焼き食べたっけ……とか。
友達と花火を見たっけ……とか。
朧げな記憶がいくつも沸いてきた。
そうするととても懐かしい気持ちになり『夏の思い出』を作りながら〈夏の思い出〉に浸るなんてこの商品を作った人の思惑に嵌っちゃってるなぁ〜やられましたよこれは〜などと商品開発部とか企画部の人の苦労が報われて良かったなぁ〜と社会人らしい感謝の念を内心抱いていたところで……これを買った理由に気付いた。
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