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「まず、1番最初はだいたい3ヶ月前。この街で起きた」
「とある住宅街に住む30代の女性が死亡した」
「まあ、これは特に気にすることもないよな。だけど」
「その10日後、更に10日後、更に10日後・・・・・・と各地で誰かが死亡した」
「でも、これも普通だよな。人なんて毎日死んでるんだからさ」
「ただ、このピックアップされた人たちには共通点があった」
「いいや、死亡者に共通点があった、てのは違うな。死亡前の『発言』に共通点があった」
「各地で発生する死者は皆口を揃えて「死神を見た」と言っている」
「32歳の女性も、9歳の男の子も、54歳の男性も、95歳の女性も、例外なく同じ言葉を、だ」
「最初はその発言もきっかけにすらならなかった。なぜなら、ソースはそれしか無かったからだ」
「ソースってそっちじゃねぇ。つかコロッケは注文してねぇ。あの、店員さん。これ、頼んでないス」
「・・・・・・さて、話を戻すぞ。死者の友人知人家族同僚が、警察の調査に対して『そう』言っていたと話している」
「お、想像通りのリアクションをしたな。それを待ってたよ」
「そう、『警察』が動いているんだ。この死者達に対してな」
「つまりこれは単なる死ではなく、『事件』という観点で進んでいる」
「そうだ、あえてここまで言わなかったが・・・死因はだな」
「首切り落とし」
「心臓摘出」
「首チョンパで心臓ぶっこ抜かれてたら、そりゃあ警察は動くよな。どう考えてもこれは事件だ」
「ちなみに、この事件で1人死ぬと、その日の晩に次の人が『死神を見る』らしいぜ」
「上手く10日感覚で事件が起きているんだな」
「一つの点が集まり、線となった今、この事件は恐怖の意を込めてこう呼ばれている」
「暗澹事件。そして、アンターンとな」
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