排水口

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 俺の名前は山川聡司(やまかわさとし)。  大学進学をきっかけに今年の春から築40年の安アパートで一人暮らしを始めた。 「え~っと教科書は──あったあった」 「聡司ぃ、早くしろよ~」 「悪ぃ悪ぃ!」 「ったく、掃除くらいしろよなぁ。こんなに物が床にとっ散らかってちゃ彼女なんて一生できないぞ?」 「彼女が出来たら掃除するよ」 「はいはい」  迎えに来てくれたのは高校からの親友で同じ大学に進学した郡山尊(こうりやまたける)。 「明日休みだし泊まりに来いよ」 「寝ないでゲームか?」 「当ったり~」 「じゃあ僕が着替えを取りに行ってる間に部屋を片付けておいてくれるなら泊まりに行くよ」 「めんど──」  俺が面倒臭いという単語を口に出そうとすると尊のメガネの奥の眼光が鋭く光った。 「か、片付けておきまぁす……」 「よろしい」  ──────  ─────  ───
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