排水口

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 放課後── 「片付けるの面倒臭ぇ~」  だが片付けてない状態で部屋に迎えに入れたら何を言われるかわかっている。尊が戻って来る前に部屋のゴミと思われるものをどんどん捨てていった。 「来たぞ~。おおっ」 「はぁ、はぁ……どうだ! 俺だってやればできるんだぜ?」  ドヤ顔で膨れ上がったゴミ袋を見せつける。 「ギリギリ合格──だな。アイス買ってきた」 「さすが尊様! 労働の後は甘い物に限る!」  こうして俺と尊は深夜を迎える手前までネットゲームを楽しんだ─── 「さすがに目が疲れてきたな」  尊はメガネを外して目頭を押さえている。 「先、シャワー入っていいよ」 「はいよ」  狭い1Rにシャワーの弾ける水音が響く。これが彼女だったらなぁなんて事を考えながら俺はゲームのレベル上げに勤しんでいた── 「なぁ、酒でも買いに行かないか?」  風呂から出てくるなり酒を買いに外に出ようと言う尊。 「は? お前飲めな──」 「いいから!」  尊が声を荒げるなんて珍しい。 「わ、わかったよ。ちょっと待って」  いつもと様子が違う尊に促され外へと出た。 「なぁ、どうしたんだよ?」 「───シャワー浴びてたらさ排水口が詰まったんだ」 「え、悪ぃ。そこまで気回してなかったわ」 「それで、排水口の蓋を開けたんだ──」 「んで、飲みたくなるほど汚かったのか?」 「違う! そうじゃない!」  目的地は歩いて5分も掛からないコンビニ。もうコンビニは目と鼻の先という所で尊は足を止めた。 「──聡司の髪の毛は短髪の茶色だろ? でもな、排水口に詰まっていたのは……黒髪だったんだ」 「は?」  冗談を言っているような顔ではない。いつもの真面目な、いや、いつも以上に真剣な眼差しで俺にそう訴え掛けてきた。 「こ、怖ぇこと言うなよ!」 「僕だって怖いよ! でも本当なんだ!」 「わ、わかったよ。部屋に戻ったら一緒に見てみよう。な?」  結局、酒などは買わずに炭酸飲料とゴム手袋を買って俺の部屋へと戻った。
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