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ウルトラの出会い・Rencontre avec ULTRA
私が彼に出会ったのは、まだ幼稚園に入る前だ。
母方の親戚の家でのことだった。
従兄弟が見ていたテレビの画面には、ビルをなぎ倒す巨大な怪獣が映っている。
怪獣の牙は長く、両手の爪は鋭く、背部を覆うとげは凶悪だ。
凶暴なモンスターに、素手で立ち向かうのは銀色の巨人。
絶体絶命のピンチ! そのとき、十字に組まれた手から必殺の光線が出た。
倒れる怪獣。
ウルトラマンは、彼方の空へ飛び去った。
彼はテレビ番組という空想世界の住人だが、私はひと目で夢中になった。
「もう帰りますよ」
私を呼ぶ母の声がしたが、返事もせずに、いとこの話しに耳を傾けた。
彼について、聞きたいことが山ほどあったからだ。
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