18人が本棚に入れています
本棚に追加
ROLE PLAYING・怪獣ごっこ
次の回から毎週、彼に会うべくテレビを見た。
金曜日が待ち遠しくてたまらない。
私はこうして、いつの間にか週や曜日を覚えていた。
架空のヒーローであると知りつつも、彼が戦う時は一生懸命に応援した。
子どもは作られた物語を見ているうちに、正義や悪の概念を知る。
私たちは架空のヒーローの振る舞いから、「いじめや暴力を許してはいけない」と読み取っていたのだ。
当時の男の子は友達と、「ごっこ遊び」をするのが当たり前だった。
全員が同時にヒーローをやるわけにはいかない。
交代で怪獣になった。
ごっこ遊びも「ロールプレイング」の一種らしいが、私たちは意図的に役割分担をしたのではない。
大好きな彼になりたくて、子どもたちの間で自然と生じたゆずり合いだ。
遊んでいるとたまに、なかなか倒されない怪獣が登場することもある。
敵役とはいえ、「負けたくない」と、頑張ってしまう子がいた。
自分が怪獣を演じる順番を逃れようとしたり、熱狂して遊びであることを忘れたりといった、相手や仲間のことを考えない子は非難を浴びる。
ヒーローの影響を受けたのは、私だけではないはずだ。
子どもたちは遊びを通して団体行動を知り、コミュニケーション能力を育んでいたのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!