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人面犬
「人面犬って知ってる?」
学校帰り友人がいきなりそんなことを聞いてきた。
「ああ、最近噂になってるやつだろ」
この街では最近いろんな噂がたっている。そのほとんどがいわゆるホラー系、幽霊とかそっち系のモノだった。
何故そんなたくさんの噂がたっているかは知らないが、噂を流してる物好きな主婦がいるのだとか。
まあそれ自体もただの噂なのだが。
人面犬はその中でも今最もホットな噂だった。
「おっ、やっぱ知ってるか。よかったよかった。」
気持ち悪いくらいニコニコしている友人。
友人は噂の類が大好物で、いつも噂を確認しに行きたがる。
別にそれ自体は構わないのだが毎回俺を巻き込もうとしてくるのはどうにかならないものか
「で、噂の真相を確かめにいくからついてこいと。」
「さっすが相棒、わかてくれてんなあ」
友人が背中をバシバシ叩いてくる。
「いって、叩くなこの馬鹿力。大体いくとはいってねえだろ。」
「えっ、来てくれないのか」
あからさまに凹む友人。断るといつもこうだ
馬鹿みたいに素直なせいで断る俺が悪いみたいになってしまう。そしてそれを毎回断れない俺自身が気に食わない。
しかし今回は違う、俺だって断る。断る事だってあるんだ。
「そんな顔してもいかねえからな」
しばらく友人は黙りこくった。
「わかった、なら1人でいくよ。」
俺は初めて友人の誘いを断った。
これであいつも多少は懲りるだろう。大体受験生なんだからこれを機に変な噂に時間を割がなくなってくれるといいんだが。
翌日、友人は学校に来なかった。
あいつはお調子者ではあったが学校をサボるような奴ではなかった。
気になって連絡を取ろうと携帯を取り出して電話をかける。
プルル•••ルル••
ダメだでない。
何かあったのだろうか?
事故で動けなくなっている?事件に巻き込まれた?
様々な最悪が頭の中を駆け巡る。
俺はとにかく行動を起こそうとした。
「確か、噂だと人面犬が現れるのは。」
携帯で調べようとして、チャットに通知があることに気がついた。
時間は昨日の夜、あいつと別れてすぐ後の時刻が記されていた。差出人はあいつ。
慌てて開くと、サイトのurlが送られてきていた。
それをタップすると、噂の都市伝説、そのサイトの人面犬のページが現れた。
俺の気興味を引こうと送った物だろう。
記事には人面犬の出現場所がいくつか記されていた。
俺はその中から一番近いところへ駆け出す
たどり着くと、そこには意外にも普通のマンションがたっていた。
俺はあいつの名前を呼びながら辺りを探して回った。
「ぁ、ぁぅ」
小さな声が聞こえてくる。何をいっているかは聞き取れなかったが、声は間違いなくあいつのものだ。
俺はあいつの名前を呼ぶことをやめぬまま声の方へと向かった。
声が近づいてくる。もうすぐそこだ、そこの角にきっとあいつが。
そこには倒れている友人がいた。
俺はすぐに駆け寄り友人の体を起こした。
「っ、」
声が出なかった。起こされた友人の顔面の皮がなくなっていたのだ。
「うっ、ぐぷっ」
俺は胃から上がってきたモノを口の中で受け止めた。
最悪の感覚に襲われていると、後ろから鳴き声が聞こえた。
「ワンっ」
それは先程聞こえた友人の声だった。
振り返るとそこには友人の顔をした何かがいた。
「な、なんなんだよお前」
「ワンっ」
「まさか、こいつが人面犬なのか」
人面犬という言葉を口にした瞬間、そいつは友人の顔で満面の笑みを浮かべた。
その笑顔は確かに友人のものなのだが、小さな四足歩行についたその顔は、俺がこれまでに見たどのようなものより恐ろしかった。
そいつは満面の笑みを浮かべたまま少しづつこちらへ近づくいてくる。
「く、くるな」
俺が恐怖の表情を浮かべると、そいつははち切れんばかりの笑みを浮かべる。いや、口角を上げすぎて実際に友人の顔がミリミリっと音を立てて裂けていく。
そいつの元の顔の全容があらわになろうかというその時、そいつは俺の顔をめがけて飛びついてきた。
恐怖で竦んでしまっていた俺は反応が遅れ、顔に噛み付かれてしまった。
「やめろっ、離れろっ」
必死に抵抗するがそいつはお構いなく俺の顔を引き剥がしていく。
「痛い痛い痛い 誰か助けて!」
叫ぶとそいつは何者かに吹っ飛ばされた。
「大丈夫ですか?」
吹っ飛んで行ったそいつは走って何処かに行き、俺の方には誰かが駆け寄ってきた。
視界は血で染まり姿は確認できなかったが、声からして男のようだ。
俺は男が呼んだ救急車ですぐに搬送された
顔面は半分失ったがなんとか一命は取り留めた。
俺を助けてくれた男は、マンションの住人で車から降りた際に俺の叫び声が聞こえて駆けつけてくれたらしい。
友人は助からなかった。
その後しばらくして、半分だけ人の顔をした犬の噂が広まった。
噂によるとその犬は誰かを探しているのだとか、、、
fin
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